多分、MH史上最大の黒歴史となる設定についてのお話。





 
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今作MHXのPVにおいて、とある場面が非常に気になると話題になった。 
こちらの画像を見て欲しい。
 
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ジンオウガが氷海に生息している。
もう一度言おう、ジンオウガが、氷海に、生息している。

もしこれが設定もしっかりしていない、ただただ狩るためのゲームならそこまで強くは言うまい。
しかし、このゲームはモンハンである。
原始的と設定を好み、狩りに物語を紡いできた、あのモンハンである。 
このジンオウガというモンスターの歴史も何年になる?2010年12月にMHP3が発売し、早5年。そんなに経っている。
のにここに来て新たな設定が増えたのである。

これが普通に付け足し、所謂後付けなら何も言うまい。
だが、今回のは今までの積み重ねを踏みにじる行為だったと言わざるをえない。



なぜ自分がここまで怒っているのか?なぜ普段こういった疑問を口にしない人も疑問に思うのか?
この問題を語るにあたり、ジンオウガとはどういうモンスターなのか、再度確認しておく。







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ジンオウガ(竜盤目 四脚亜目 雷狼竜上科 ジンオウガ科)

青と黄色が特徴的な体色の、渓流に生息するモンスター。
他に類を見ない牙竜種という種族に属し、狼のような外見で、その風貌から雷狼竜とも呼ばれる。 
MHP3より登場し、そのトリッキーな動きと威風堂々な姿、BGMのかっこよさなど瞬く間に人気をかっさらった。

背中に電気を蓄える帯電殻・帯電毛という特殊な部位が存在する。更に付近の雷光虫を呼び寄せるという習性があり、呼び寄せられた雷光虫はジンオウガの蓄えた電気により活性化する
この活性化した雷光虫を超電雷光虫と呼び、超電雷光虫の放つ電力を利用することで全身に蒼い雷が纏ったような状態になり、強大な電気エネルギーを扱うことができるようになる。
このときの状態を超帯電状態と呼び、電気を使った広範囲・強力な攻撃を行うようになり、非常に危険。


と、ハンターに伝わる情報はあらかたこんな感じ。
それでは、このモンスターが氷海に存在することの何が駄目なのか、何が問題なのか、
4つの観点から、駄目な場所を説明していこう。




1.生息地について:

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ジンオウガは元々は山岳地帯に生息し、目撃例もごくまれの非常に珍しいモンスターだった。
MHP3では元々霊峰に生息していたが、古龍アマツマガツチの来訪により生息地を追われふもとの渓流に降りてきた結果、村に被害が及び討伐を依頼された、という経歴で何年ぶり、何十年ぶりにハンターと対峙したのである。
狩りに生きるの『本来は人里離れた渓流の奥深くに棲み着き、』という文面から、当時は霊峰、またはそれに準ずる山奥に生息する固有種だったことが仄めかされている。
ほかにもMHP3にて孤島、MHXでは古代林というこれまた人里離れた僻地に生息しているが、上記の文面からこれらの場所は適切とは言いがたい。渓流のラギアクルスのように生息環境は問題ないのだが違和感が残る。

では今回の氷海はどうだろう。まず生息地方がそもそも違う。仮に同じ地方の出来事だったとしよう。しかし逃走の果てに凍りついた海に辿りつき、そこに移住するほどのことになるのだろうか。





※補足
(1)の問題、多少強引だが実はこの文で片付けることができる。

「この個体は普通ではこの地方に存在しうることがない完全なイレギュラーであり、
 それが原因で環境が破壊されかねない、だからハンターに討伐を依頼した。」


ギルドに依頼するクエストとして最もそれらしい依頼文、それらしい内容だ。
しかしそんなことが本作に一文でも書いてあっただろうか。
以下載せるのは、狩猟地が氷海でのジンオウガの討伐依頼文である。
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ハンターを幾度となく退けてきた強いモンスターということは伺えるが、イレギュラーだということに対する緊急性や異常性はあまり感じられない。
それにこの依頼文、MHP3の時の同クエストと狩猟地以外一字一句変わらないのだ。
つまりこの地にジンオウガがいることはある程度認知されており、別にハンターからすれば違和感がないことになりこの推測だと不自然である。






2.亜種と環境:
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今回の問題を語るにおいて欠かせない存在なのが、この亜種である。
ジンオウガ亜種、別名獄狼竜。MH3Gが初登場で、従来の動きに追加された龍属性やその対象的な黒と赤のボディはG級に挑むハンターを燃え上がらせた。
雷光虫の代わりに龍属性を持った蝕龍蟲を纏い、活性化させることで龍光まとい状態になり、滅龍の力を使えるようになり、非常に危険なモンスターだ。

普段ではありえない凍土や火山に生息しているが、
蝕龍蟲の龍属性エネルギーを活用することで、寒さ暑さに対する耐性を得、
高温や極寒の環境下でも活動できるようになっているらしい。
つまり、言い換えればジンオウガ原種は元々は暑さ寒さに対する耐性を持っていない、ということになる。
まあ百歩譲って原種も暑さ寒さにはある程度耐えられたと仮定しよう。


『そのエネルギーの影響か、高温や極寒の
 環境下でも活動できるようだ。』(モンスターリスト参照)
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つまり、原種はある程度の寒さは良くても極寒は無理という解釈ができる。 
氷海はほぼ一面が氷に覆われている。そんな氷の世界は極寒の地以外のなにものでもない。
これで原種が氷海の寒さOKなら、「僕は耐性を得たとは言いましたが、寒さに弱いとは言ってません」と言った、ただのヘリクツである。







3.ジンオウガと雷光虫の関係性:

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ジンオウガと雷光虫は共存状態にある。
雷光虫の天敵はガーグァだが、ガーグァはジンオウガの捕食対象でもあるのだ。
つまり、雷光虫はジンオウガに集まることで天敵から身を守ることができ、ジンオウガは雷光虫を集めることで自分の力を大きく誇示し続けることが可能になる。

氷海にガーグァなんてモンスターはいない。つまり共存をする理由がない。では何のために雷光虫を保持しているのか?
ジンオウガ側は力を保持し続けられるだろう。縄張り争いにおいての大事な手段にもなる。
では雷光虫側は?天敵がいないのに貼り付いているのか?それはもう必要ないのではないのだろうか?



それにもう一つ
ジンオウガ亜種が寒さに適応した結果が蝕龍蟲なら、雷光虫とジンオウガの組み合わせでどうやって氷海で生き延びているのか?





 
4.弱点:

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ジンオウガの弱点は



である。
せっかくなのでもう一度言おう。氷である。
では氷海とはなんだ?設定ではどうなっている?凍りついた海である。
なぜ氷属性が弱点のモンスターが氷の世界にいてピンピンしている?おかしい話じゃないか。




※補足
(4)の問題、ネット上を見ていると勘違いしている人も多いのだが、この問題の反論や同調として雪山のラージャンが挙げられる。
確かにラージャンだって氷が弱点なのに雪山にいるが、ラージャンの設定を掘り下げていくとキリン捕食のために来たのではないか?とある程度妄想は出来るようになっている。
ジンオウガにはそういった説明がまったくないのが問題なのだ。







言いたかったこと:

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感情に任せてかなり暴走してしまったが、今回の氷海に生息しているジンオウガというものがいかに設定崩壊でいかにファンたちの心を踏みにじったかということがわかっていただけただろうか。

別にファンたちは現実の動物のように生態を解き明かせと言っているではない。ただそういった設定を楽しむには最低限それらしい理由付けが必要なだけだ。




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例えばだが、ティガレックスが雪山に来る理由として『ポポの肉が大好物だから』というのがある。
しかしティガレックスは元々乾燥地帯出身で、わざわざポポを狩りに行く必要はない。
餌を求めて各地を渡り歩くとしても、寒い場所じゃなくても良い。一体どこで寒冷地に向かいポポを最初に捕食したのか、という疑問が湧いてくる。
しかし、MHP2でのオープニングの演出、ストーリー上での絡み、狩りに生きる等、すべての情報を補完した結果『ポポの肉が大好物だから雪山に飛来する』でファンたちは納得するのである。


それが『それらしい理由付け』である。


しかしジンオウガにはその程度の説明すらない。
『なぜ氷海に生息しているのか』『二つ名ジンオウガとは一体何なのか』『孤島へはどうやって来たのか』
この程度の説明すらないのである。基盤作ったから後はお前らで考えろとばかりに丸投げである。
そんでもって一定期間後にひょっこりと公式設定を投げる。必死に考察するファンをさらに踏みにじる。それはおかしくないか?
おこがましいかもしれないが、ファンたちは新しい設定への最低限の説明ってものを望んでいる。




最後に:

次回作ではこの問題についてしっかりと設定の提示を行ってくれるのだろうか、非常に楽しみである。
公式はモンハンについて、作品を大切にしてくれるファンたちよりも新規獲得を優先していきたいとの方針を発表したようだが、こういった設定矛盾を繰り返していてはファンも幻滅して離れていってしまうぞと警告したい。